じつは眼瞼下垂ではない!?
偽眼瞼下垂の基礎知識
偽眼瞼下垂かどうか自己判断は難しい
ネットや書籍でご自身の症状を調べた結果、「眼瞼下垂に違いない」と確信していざ病院で診断を受けてみると、じつは眼瞼下垂ではなかった…という場合があります。このようなケースを「偽眼瞼下垂(ぎがんけんかすい)」と定義しています。
一見、症状が眼瞼下垂と非常に似ているため、一般の人がそれを見抜くのはなかなか困難なもの。二重の人はなりにくく、一重や奥二重の人は加齢と共に偽眼瞼下垂になりやすいとされています。以下に偽眼瞼下垂の定義や対処法について説明していきます。
偽眼瞼下垂とは?
偽眼瞼下垂とは、どのような症状か。慶應義塾大学病院の「医療・健康情報サイト」によれば、「偽眼瞼下垂とは本当は眼瞼下垂ではない状態で、眉毛下垂や眼瞼痙攣、眼瞼皮膚弛緩症、眼球陥凹、小眼球症などにより、一見眼瞼下垂のようにみえてしまう状態」のこと。症状は眼瞼下垂に似ているのですが、医学的には眼瞼下垂ではありません。
たとえば「眉毛下垂」とは、肌の老化が原因でコラーゲン線維の現象で皮膚を支える土台の機能が落ちてしまい、たるんでしまったり筋肉がゆるんでしまったりして、眉毛自体が下がってしまう状態のこと。眉毛が下がるとまぶたも同時にさがってしまうことから、眼瞼下垂によく似た症状になるというわけです。
偽眼瞼下垂の原因は、まぶたの皮膚のたるみだけではなく、いくつか原因が考えられます。以下に代表的な例を6つ挙げておきます。
原因
偽眼瞼下垂と呼ばれるものは、原因によって以下のような種類に分けられています
- 眉毛下垂(まゆげかすい)
- 老化で皮膚がたるんでしまった影響で、眉毛の位置が下がってしまった状態。眉毛が下がるとまぶたも押し下げられることになります。
- 眼瞼皮膚弛緩症(がんけんひふしかんしょう)
- 老化で皮膚がたるんでしまった影響で、まぶたの皮膚がたれ下がってしまった状態。
- 眼瞼けいれん
- 瞼を閉じるときに使う眼輪筋と呼ばれる筋肉が固くなり、目を開きにくくなった状態。眼球や神経の異常が原因と言われています。
- 眼球陥凹(がんきゅうかんおう)
- 眼球が異常に陥没した状態。事故などによる外傷や、甲状腺の病気(バセドウ病)が原因となって起こります。
- 小眼球症(しょうがんきゅうしょう)
- 生まれつき眼球が小さい状態。視力が弱いことがあります。
目のたるみが気になる程度だから…などと自己判断せず、まずは病院で検査を受けていただきたいと思います。試しに眼瞼下垂かどうかセルフチェックしてみてはいかがでしょう。
後天性眼瞼下垂と偽眼瞼下垂はに通った症状を持ちますが、まぶたを上げ下げする筋肉が関係してるかいないかによって分類されます。原因が異なるため当然治療法にも違いが出てきますので、専門医にしっかり診てもらうことが大切です。
偽眼瞼下垂の治療法
偽眼瞼下垂の治療法は、基本的に手術となります。その原因のほとんどは加齢による皮膚のたるみ。皮膚のたるみを治療するのは、主に美容外科や美容皮膚科。よって、偽眼瞼下垂の手術には保険が効かないので注意しましょう。
治療法
- 埋没法
- 瞼の皮膚のたるみを折りたたんで、医療用の糸で結んで固定する方法。手術の一種に分類されるものの、手術ではメスを使いません。治療時間はトータル10~20分程度なので、体への負担も少なくて済みます。
埋没法は、軽度の偽眼瞼下垂に適した方法。中度、重度の偽眼瞼下垂の場合は、メスによる切開法を選んだほうが良いでしょう。 - 切開重瞼(二重切開法)
- まぶたを横に長く切開し、余分な皮膚や脂肪を取り除いて縫合する手術法。術後の腫れや内出血がひくと、偽眼瞼下垂が解消するとともに、もともと二重瞼だった人には自然な二重ラインが生まれます。
- 眉毛下切開(眉下リフト・上眼瞼リフト)
- 眉毛の下の皮膚を取り除き、縫合する手術法。瞼を眉毛のほうに引き上げる要領で、偽眼瞼下垂を解消させます。
- 眉毛挙上術(ブローリフト)
- 眉毛の上の皮膚を取り除き、縫合する手術法。眉毛をおでこのほうに引き上げる要領で、偽眼瞼下垂を解消させます。
術後の経過
埋没法はメスを使わないので、術後に大きな負担が残ることはありません。ただし、個人差によって3日程度は腫れがひかない場合もあるので、できれば連休などを利用して施術を受けたほうが良いでしょう。
メスを使う手術法は、術後、腫れや内出血、傷跡が強く残ります。抜糸は術後1週間で行なわれますが、その後もさらに1週間程度は目立った腫れが続くでしょう。完全に自然な目元になるには、1~3ヶ月ほどの期間を要します。