保険で眼瞼下垂の
手術を受けるには、
医師の診断が不可欠!
医師の判断によるため、必ずしも眼瞼下垂と診断されるわけではない。
眼瞼下垂を根本から改善するには、手術を受ける必要があります。一般的に自費診療のイメージが強い眼瞼下垂治療ではありますが、実は健康保険適用の手術です。
しかし、眼瞼下垂の手術を保険で受けるには、医師の診断によって「眼瞼下垂である」と認められなければなりません。そのためにはいくつかの条件をクリアする必要があるのですが、それにはどんなものがあるのでしょうか?診察を受ける前に確認しておくこと、やっておきたい準備などをまとめてみました。
受診前に確認しておくこと
眼瞼下垂はれっきとした病気ですが、その診断基準が少々曖昧です。明確に「ここまでが正常、ここからが異常」という線引きをされているワケではないため、それぞれの症状を医師が診察し、主観によって診断されているのが現状なのです。
しかし、健康保険で手術を受けたいと思っている場合、この診断はとくに重要となります。以下に、自分が眼瞼下垂かどうかチェックできるポイントと、受診前にやっておきたい下準備についてまとめましたので、参考にしてみてください。
事前にやっておきたいチェックポイント
- 視界チェック
- まぶたのせいで黒目が70%ほどしか見えていない場合、それは保険適用の眼瞼下垂であると診断されます。しかし、鏡を見てその条件に当てはまるかどうかは、なかなか見分けがつかないかもしれません。以下にセルフチェック法を紹介しますので、医師の診断を受ける前に確認してみましょう。
- まっすぐに前を見て、軽く目を閉じる。
- 目を閉じた状態で、両方の眉毛の上を指で強めに押さえる。
- 2の状態のまま、目を開ける。
これで、普通に目を開けることができれば、眼瞼下垂である可能性は低め。額に力が入ったり、目が開けにくい場合は、眼瞼下垂である可能性がかなり高くなります。
受診前の下準備
眼瞼下垂の症状を証明するため、クリニックへ行く前の準備をしておきましょう。とくに、保険適用になるかどうか微妙なラインの場合は、こういった下準備が功を奏することがあります。
- 眼瞼下垂前の写真を見せる
- 当然ですが、医師はあなたの今の状態しか見たことがありません。そのため、まぶたが垂れ下がる前に撮影した写真を用意しておくと、どれだけ症状が進んだのかを明確に示すことができます。ただし、写真と今の状態が大きく違うからといって、眼瞼下垂と診断されるとは限りません。ひとつの参考資料としてください。
- 問診で聞かれることに対する回答を用意する
- 眼瞼下垂かどうかを診断するために、いろいろな質問をされることがあります。とくに、日常生活に支障が出ているかどうかは、診断を大きく左右することがあるので、具体的な例を用意しておくと良いでしょう。ただし、虚偽の発言はNGです。
- ・視野を狭く感じるか
- ・ものが二重に見えることがあるか
- ・目が乾きやすいか
- ・まぶたの皮膚を重く感じるか
- ・幼児の時から二重まぶたかどうか
- ・車の運転が問題なくできるか
- ・手元が見えにくいことがあるか(物を書く、包丁を持つなど)
- ・朝と夜で、まぶたの動きに違いがあるか
- ・コンタクトレンズを長い間使用しているか
- ・肩こり・頭痛があるか(ある場合はその頻度、痛み方など)
- ・顎関節症があるか
- ・歯ぎしりをする、無意識に歯を食いしばるクセがあるか
- ・目をよくこするか
- ・額のシワが気になるか
保険適応の判断基準
眼瞼下垂の診断には、医師の主観が入ります。ひと目見て「これは眼瞼下垂である」と診断できるほど重度であれば問題ないのですが、微妙なラインの場合は、医師によって意見が分かれることがあります。とあるクリニックでは「眼瞼下垂ではない」と言われたのに、ほかのクリニックでは「眼瞼下垂である」と言われる可能性もあるのです。
そのため、ひとつのクリニックで思ったような診断が出なかった場合は、ほかのクリニックの意見も参考にしてみた方が良いでしょう。とくに、保険適用で眼瞼下垂の手術を受けたいと強く希望している場合は、複数受診をおすすめします。
眼瞼下垂の診断法
a眼瞼下垂の診察では、医師の問診・視診のほかに、以下のような検査を行うことがあります。
- MRD(margin reflex distance)
- MRDとは、瞳孔の中心と、まつ毛の生え際までの距離。その距離を計測して判断材料とするのですが、MRDが3.5mm以下(未満)で眼瞼下垂症と診断されます。
- 筋力チェック
- 眼瞼下垂にはいくつか種類がありますが、その判別に使われるのが上眼瞼挙筋機能のチェックです。この検査では、上眼瞼挙筋がどれくらい動くかを見ます。やり方は簡単で、眉毛の上の付近を押さえ、前頭筋(額の筋肉)を使わない状態にします。その状態で、最も下を見たときと、最も上を見たときのまぶたの下縁の移動距離を測定。15mm以下の場合、眼瞼下垂と診断されます。
- 腱膜性チェック
- 腱膜性眼瞼下垂かどうかのチェックには、5%ネオシジンの点眼薬を使用します。ネオシジンを点眼して、下がったまぶたが一時的に上がった場合、腱膜性眼瞼下垂と診断されます。