眼瞼下垂の術後の
ダウンタイム・注意点について
知っておこう
日常の生活に早く戻るためにも、事前に術後経過をしっかりと確認
眼瞼下垂を治すには、手術が必要となります。その方法には、皮膚を切る方法と切らない方法がありますが、とくにダウンタイムが長くなるのは「切る方法(切開法)」。術後、どのような経過をたどるのか、注意すべき点にはどのようなものがあるのか、あらかじめ知っておく必要があります。これから治療を受けようと思っている方は、ぜひチェックしておいてください。
ダウンタイムについて
ダウンタイムとは、手術を受けてから回復するまでの期間のこと。一般的に、眼瞼下垂手術では、まぶたの腫れ・内出血などが起こるため、その症状が落ち着くまでの期間を指します。
その長さは、治療法・症状・個人の感じ方によって異なりますが、大なり小なり誰にでもダウンタイムは発生するので、術後の経過についてはきちんと知っておくようにしましょう。
術後の経過
眼瞼下垂手術後の腫れは、2~3日がピークとなります。およそ1週間ほどで大きな腫れが引き、2週間もすればほとんどの腫れは消失するでしょう。その間は顔がむくんだり、目やにが増えるなどのトラブルが見られることもありますが、基本的には安静・清潔を心がけていれば問題はありません。 内出血については、麻酔の注射や施術中に血管が傷つくことによって起こります。皮膚下で出血するため、上まぶた~目のまわり一帯が紫色に見えますが、2~3週間ほどで自然に消失します。しかし、見た目があまり良くないため、接客業などをしている方は手術のスケジュールを考慮した方が良いでしょう。
眼瞼下垂の症状が軽い場合は切らずに眼瞼下垂の治療を行なう方法もあるのでチェックしてみてください。
二重整形とのダウンタイムの違い
眼瞼下垂のダウンタイムは、他の目元の整形手術と比べるとどのようになっているのでしょうか。まずは、目元の整形として最も一般的である二重整形のダウンタイムと比較してみたいと思います。二重整形は切る手術である切開法と比較した方が近いでしょうが、埋没法もその比較に加えてみましょう。
眼瞼下垂 | 埋没法 | 切開法 | |
---|---|---|---|
現れる症状 | 腫れ 内出血 むくみ 目やに |
腫れ 内出血 |
腫れ 内出血 むくみ |
強い腫れ | 1週間程度 | 3日程度 | 1~2週間 |
通常の腫れ | 2週間程度 | 1週間程度 | 3ヵ月程度 |
内出血 | 2~3週間 | 1週間程度 | 1ヵ月程度 |
出典:湘南美容クリニックPATCH『二重の整形にはどれくらいの日数が必要?』
出典:湘南美容クリニックPATCH『二重整形の切開後にあるダウンタイムはどのくらい?』
出典:湘南美容クリニックPATCH『二重整形の後、どれくらい内出血の状態が続くの?』
眼瞼下垂と埋没法、そして切開法とのダウンタイムを比較してみると、眼瞼下垂のダウンタイムはそれほど長いものではありません。むしろ切開法の二重整形をしたほうがダウンタイムは長くなる傾向があり、通常の腫れが完全になくなるまでの期間は3ヵ月も必要となります。もちろん、ダウンタイムの現れ方は人によって異なるので一概には言えませんが、切開法による二重整形よりも気軽に受けられると言えるでしょう。
目頭切開とのダウンタイムの違い
目をぱっちりと見せるための手術である目頭切開。目頭切開と眼瞼下垂のダウンタイムを比較してみると、やはり眼瞼下垂のダウンタイムの方が短くなるようです。目頭切開では大きな腫れは最長2週間ほどでなくなるとされますが、完全に腫れがなくなるまでは半年程度の期間が必要になります[1]。目頭切開と二重切開法とはほぼ同じようなダウンタイムとなりますが、目元の手術ではこの程度の長さが基本です。
術後の過ごし方について
眼瞼下垂手術後のダウンタイムの長さは、日常生活における注意事項をどれだけ守ったかによっても変わってきます。できるだけ早い回復を目指すなら、以下の注意事項や、クリニックからの指示を厳守するようにしてください。
できるだけ傷跡を濡らさないこと
まぶたを切開する手術を受けた場合、当日を含む術後3日間くらいは傷を濡らさないようにします。洗顔をするときに、洗顔フォームなどを使うのは構いませんが、目のまわりは避けること。水がついてしまったら、清潔なコットンなどでそっとふき取るようにします。ただし、氷を使ったアイシングは腫れを落ち着かせるために効果的です。目元が濡れないように氷をタオルで包んで、冷えすぎない程度に1回数分~数十分冷やすようにしてください。特に眼瞼下垂の術後3日間は、時間が空いたときに、1日数回アイシングをすることがおすすめです[2]。術後1週間ほどで抜糸できれば、その後は普通に洗顔することができます。
お風呂はシャワーにとどめておくこと
血行が良くなると腫れや内出血が悪化する恐れがあるため、お風呂は湯船を使わず、シャワーをサッと浴びる程度にとどめましょう。シャンプーは手術当日から大丈夫ですが、注意することは、やはり目元を濡らさないようにすることです。水滴やシャンプーの泡などが目元の傷につかないように洗うことに注意し、もしもついてしまった場合は水で優しく洗ってから濡らしたタオルで傷口を拭きましょう[2]。クリニックによっては、翌日から入浴OKのところもありますが、できれば2日間くらいはシャワーだけにした方が安全のようです。特に手術後24時間以内に必要以上に血行が良くなると、傷口から血が出てしまうこともあるので注意が必要です。どうしてもシャワーだけでは物足りないようでしたら、ぬるめのお湯で短時間の半身浴をしてください[2]。サウナや岩盤浴などは、術後1ヶ月くらいで問題なく楽しめますが、異常を感じたときはすぐに中止するようにしてください。
運動は1週間後が目安
術後24時間は、血行を促進しないよう安静が基本。治療法によっては、翌日から外出をすることもできますが、できれば家の近所程度にとどめておきましょう。ウォーキングなどの軽い運動は術後1週間くらい、ハードな筋トレなどは2週間後くらいからが目安です。術後1ヶ月経てば、ほとんどの運動は問題なく行えるようになります。ですが、例え日数が経っていたとしても、傷口に痛みや違和感を感じるようならば運動は控えた方が良いでしょう。傷の治りには個人差があるので、ある程度の日数が経過していたとしても、傷口の様子を見ながら少しずつ慣らしていってください[2]。
コンタクトレンズは翌日からOK?
コンタクトレンズの装用については、医師によって指示がだいぶ異なります。治療法によっては、当日もしくは翌日から装着可能と言われていますが、目やまぶたに負担をかけないよう、できれば1週間くらいはメガネで過ごした方が良いでしょう。とくに、コンタクトレンズの長期使用が眼瞼下垂の原因であった場合、再発の恐れがあります。また、術後には、手術の影響でまぶたの裏側の形状が変化している場合もあります。翌日からコンタクト可能と言われたとしても、まぶたの形状の変化によって違和感や異物感を覚えることも少なくありません。そして、コンタクトの取外しをする際には手を使うので、傷口付近を手で触ることによって雑菌がつく恐れもあります。傷口を清潔に保つためにも、なるべくなら使わない方が良いでしょう[2]。
タバコはNG!
タバコは血液の流れを悪くするため、傷の治癒が遅くなります。また、免疫力もダウンするため、細菌による感染が起こる可能性もアップ。できれば手術の2週間前から禁煙し、術後も1ヶ月くらいはタバコをやめた方が良いでしょう。そして、タバコは眼瞼下垂の原因にもなります。タバコに含まれるニコチンは、血管収縮効果によって皮膚の代謝能力を低下させ、活性酸素を増加させ、皮膚の老化を早めます。これらのことはまぶたのたるみを生じさせる原因になるので、再発防止のためにも、手術のタイミングで禁煙できると理想的です[3]。
車の運転は、安全を考慮して3~4日後から
眼瞼下垂の手術後はまぶたが腫れているため、どうしても違和感を覚えます。手術によって視界は広くなっているのですが、まぶたの違和感が集中力を低下させる恐れがあるため、大きな腫れが引くまで車の運転は控えるべきでしょう。そのため、眼瞼下垂の手術に行く際には、家族の方に運転してきてもらうか、公共交通機関を利用するようにしてください。手術直後にご自身で運転して帰宅することはとても危険で、病院によっては、眼瞼下垂手術当日の自動車での来院を禁止しているところもあるくらいです[4]。
日別毎の経過状況
眼瞼下垂の手術、とくに皮膚を切開する手術はダウンタイムが比較的長くなります。生活にもある程度の影響を及ぼすため、どのような経過をたどるのかをあらかじめ知っておくようにしましょう。
- 術後2~3日
- 大きな腫れが見られる時期。当日よりも腫れが大きくなり、まぶたが突っ張る感じがあります。目やにが多く見られるのもこの時期。
- 術後4~5日
- 大きな腫れが引き、落ち着いてくる時期。切開の場合は傷跡が生々しく見えるため、サングラスなどでカバーすると良いでしょう。
- 術後7~10日
- 問題がなければ、クリニックで抜糸をします。大きな腫れはだいぶ引いており、糸を抜くことでさらに治りが良くなります。
- 術後1ヶ月~
- 腫れがほとんど分からなくなり、日常生活も普通に送れますが、まだ完全に仕上がってはいません。しっかり定着するまでには、3~6ヶ月を必要とします。
参考サイト・参考文献
[1]参考:高須クリニック『目頭切開』
[2]参考:高須クリニック『眼瞼下垂』
[4]参考:鈴木眼科クリニック名東『眼瞼手術』