単なるまぶたのたるみと勘違いしやすい
たるみは、まぶたの皮膚だけが伸びてしまったものと筋肉まで伸びてしまったものの2つに分けられます。まぶたの筋肉は使えば使うほど伸びていくため、加齢によるたるみの中には筋肉まで伸びてしまっているケースが少なくありません。
眼瞼下垂はまぶたの筋肉が伸びてしまい、まぶたをうまく引き上げられなくなった状態。つまり、年を重ねればだれでも眼瞼下垂になる可能性が高まります。しかし眼瞼下垂の症状が現れていても、加齢によるまぶたのたるみとして放置されてしまうケースが多いのです。
また、若い人でも生まれつきまぶたの筋肉が弱い場合は眼瞼下垂と診断されることも。子どもの眼瞼下垂は視力の成長を阻害したり、いじめにつながったりする可能性があるため、早急な対処が望まれます。伸びてしまった筋肉をもとに戻すには、手術が必要です。
眼瞼下垂は自覚しにくい病気
眼瞼下垂は通常、いきなり症状が現れるという事はありません。そのため症状の程度が軽い時期は、他の筋肉でまぶたの筋肉の働きを補って適応しようとするケースが多々見られます。
特に眼瞼下垂の初期は「代償期」と呼ばれており、無意識のうちにおでこの筋肉を使ってまぶたを引き上げがち。眼瞼下垂の症状が軽いため、おでこの筋肉を少し引き上げれば視界が確保でき、本人も周りも見逃してしまいます。ただ、おでこの筋肉に負荷をかけ続けることになるため、だるさを感じたりおでこを引き上げた際のしわが残ってしまったりすることも。眼瞼下垂を放置するほど見た目、身体面で影響が大きくなっていくので、できるだけ早めに医師に状態を確認してもらうのがおすすめです。
どんな人が眼瞼下垂になりやすい?
加齢によって誰でも眼瞼下垂になりやすくなる
加齢とともに眼瞼下垂になりやすくなります。眼瞼下垂のほとんどはまぶたとまぶたを引き上げる筋肉をつなぐ「腱膜」がすり減ることによって起こるもの。人は一日に2万回近くのまばたきをしており、その度に腱膜はまぶたを引っ張っています。年を重ねると、これまでのまばたきによって徐々にすり減った腱膜がまぶたを持ち上げられなくなり、眼瞼下垂の症状が現れます。
最近では芸能人の和田アキ子さんが眼瞼下垂の手術を受けたことをカミングアウトし、ネット上でも「眼瞼下垂」というキーワードが急上昇しました。そのほかにも眼瞼下垂の手術を受けたとされる芸人さんなどもいるようです。
若い人にも増えている
40代以降に多い眼瞼下垂ですが、最近は20代や30代にも眼瞼下垂が増えていると言われています。ハードコンタクトレンズの使用やまぶたに強い刺激を与えるアイメイク、スマートフォンやPCの長時間利用によるドライアイも眼瞼下垂の原因。腱膜のすり減りを加速させ、若いうちから眼瞼下垂の症状が現れます。
眼瞼下垂の早期発見のポイント
眼瞼下垂は加齢によって起こる疾患と考える人が多いかもしれませんが、人によっては40代での発症も珍しくなく、まれに20代から症状が現れる方もいます。
また眼瞼下垂にはさまざまな症状がでる可能性があり、1つしか出ない場合もあれば複数の症状が出ることも。そのうえ眼瞼下垂の「代償期」とよばれる時期は無自覚であることが多く、まぶたの筋肉が縮まっていることに気が付きにくいのです。
初期症状としては「まぶたが重く感じる」「肩や首が凝る」「頭痛」「寝付けない・眠りが浅い」「めまい」などなど、その症状があっても眼瞼下垂が原因とは気づけないようなものもあります。
そこで、自分が眼瞼下垂になっているのかをチェックするポイントを紹介します。鏡を見ながら行う簡単チェックなので、「眼瞼下垂になっているかも…」と思う方はトライしてみましょう。
まず、鏡を見ながら眉毛の下あたりに指をそっとあてます。次に、その指で上まぶたを優しく持ち上げます。もしも持ち上げたときに眼の周りが楽になるようであれば、まぶたが下がってきているサイン。眼瞼下垂によってまぶたの重みが負荷となり、眼の周りが疲れているのかもしれません。
今度は鏡に近づいてできるだけ目を見開いてみましょう。見開いたとき、黒目の上部分に1mm以上白目が見えていれば問題ありません。力を入れて目を見開いても白目の部分が露出しない・黒目の上部が隠れているような場合は眼瞼下垂の可能性があります。
眼瞼下垂の手術は何科で受けられるの?
眼瞼下垂の症状が現れたら、基本的に手術によって改善させることになります。眼科や形成外科などのほか、美容外科や美容皮膚科などでも手術が受けられます。
眼瞼下垂には保険適用、保険適用外の手術があり、診療科によってどちらに対応しているかは異なります。眼科では保険適用の手術を行なっており、美容外科や美容皮膚科、美容形成外科では保険適用外の手術を行っているのが一般的。保険適用の手術は「物が見えづらい」といった目の機能面の問題を解決したい場合に適用され、切開法での手術となります。一方美容外科などでの保険適用外の手術は、まぶたの機能改善だけでなく、「見た目の改善」が目的です。そのため切開法による手術と切らない眼瞼下垂手術のどちらかを選択することができます。保険が利かないぶん高額になりますが、患者さんの希望をかなえることができるというメリットがあります。目的に応じて、適切なクリニックを選びましょう。
診療科 | 美容外科 美容皮膚科 美容形成外科など |
眼科・形成外科・皮膚科など※ |
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適用できる手術 | 切開法 切らない眼瞼下垂手術(保険適用外) |
切開法(保険適用) |
メリット | 審美面(傷やまぶたの形状など)への配慮 (切らない手術の場合)ダウンタイムが短い |
費用の負担が少ない |
デメリット | 費用面の負担が大きい 重度の眼瞼下垂では適用できない手術もある |
基本的に切開法なので、ダウンタイムが長い |