子どもはある意味残酷な生きもの
最近では小学生がLINEでいじめを受けるといったニュースを毎日のように聞くようになってしまいましたが、見た目や挙動、ちょっとしたクセやハンディキャップなど、だれかひとりをベンチマークしていじめる対象を探している、そんな残酷な一面を子どもは持っているといえます。最初はからかい半分だったものが次第に陰湿さを増し、あろうことか先生までもがいじめる側に回るという信じられない事件などもありました。
先天性眼瞼下垂だからといってかならずしもいじめに合うわけではありませんが、「そのまま手術しなかったら、いじめに合うかも」と心配する母親の投稿からもわかるように、いじめのターゲットになってしまう可能性がないとは言い切れません。
子ども社会では、容姿やコミュニケーション能力、笑いのセンスなどが重要だとする研究もあり、眼瞼下垂で劣等感を抱いてしまうことはいじめや不適応の原因になりうるのです。
では早速読売新聞オンラインの「発言小町」よりお子さんが眼瞼下垂のかたのトピックスをご紹介しましょう。
家族や子どもが眼瞼下垂のかたが
投稿された体験談
私の子供はただいま、7ヶ月の男の子なんですが、片目が眼瞼下垂のため、瞼が下がっていて病院に通っています。2才か3才になったら、両目を同じ大きさにするため、手術する予定です。(中略)眼瞼下垂のお子さんを持ち、手術されたかた、その後お子さんの状態など、教えてもらいたいのですが。よろしくおねがいします!
編集部のコメント
この投稿で気になったのは、医師から発せられた「見た目でいじめられる」かもしれないから、手術したほうがいい、という言葉です。視力的に問題がなくても、手術を勧められてたようですね。
このトピックスに対し、同様に眼瞼下垂と診断されたお子さんを持つ母親たちから体験談が寄せられていました。2歳で手術を受けるかたもいるようですが、あまり幼いうちに手術を受けると、左右のバランスや目を閉じたときの下限などがコントロールしにくいようですよ、などといったアドバイスや励ましのコメントが載っています。
コメントを見ると絶対に手術をしなければらないということではないものの、いじめのリスクを減らしたいという親心が当然あるのだと思います。とにかく視力の発達は5歳ぐらいまでなので、この期間に重度の眼瞼下垂で目をまぶたが隠すような状態になっていると、視力の発達が阻まれてしまうこともあるそうです。心配なら複数のクリニックで医師の意見を聞いてみてもよいと思います。
小学校に上がる前くらいに手術を受けました。 やっぱり周りから「目、どうしたの?」としょっちゅう聞かれてました。
小さい内に手術を受けた方が手術に対して変に恐怖心を抱かずに済むし、からかわれて無駄に傷つくことも無いのでいいと思います。
繊細な子だと目のことを指摘されるだけでストレスを感じます。
手術後は眠っている時に薄目が開くので、友達に「半目開いてる」とおちょくられたりしたみたいですが、「小さい時に目の手術したから」と言えば納得して、それ以上つっかかってくる相手はいなかったようです。
23歳になり、左右整った瞼の弟はなかなかのハンサムです。 しなくても命にかかわったりはしませんが、コンプレックスを1つ抱えずに済み、心健やかに成長した弟を見て手術を受けて正解だったと思います。
編集部のコメント
弟さんが眼瞼下垂の手術を受けた方の体験談です。いくつかの体験談を読んでいて気付いたのですが、人の目と自分の目が違うことを「個性」と捉えて気にしない、という選択肢ももちろんありますよね?親御さんがお子さんに「どうして右目と左目がこんなに違うの?」と聞かれたときに、なんと答えるかによっても、お子さんの心の持ち方が変わる気がします。
この男性のように成長してから見た目のコンプレックスを解消できて大成功、という場合もありますのでどちらがよいとは言い切れませんが、やはり親としてどうしてあげるのがよいか、悩ましいところだと感じました。
幼稚園のお迎えには下の子を連れて行きます。
(中略)
年長さんたちが大勢寄ってきて口々に「この赤ちゃん、目が変!」「目みえてないの?」「こっちだけつぶれてる!」というのでびっくりしてなんと言っていいのかわからなくなりました…。
編集部のコメント
幼い娘が眼瞼下垂というケースです。子どもは良くも悪くも正直。周りの子どもに悪意はないと分かっていても、親の立場では娘の目が「変」と言われるとびっくりしたり傷ついたりしてしまいます。特に片目が重度の眼瞼下垂で左右差が大きい場合は、子どもの注意を集めてしまいます。
理由を教えてあげれば、子どもたちも納得するかもしれませんが、将来的にいじめられないかと不安になってしまいますよね…。こういうときには、医師のアドバイスを受けることが大切。赤ちゃんには自分で決めることはできませんので、大人たちがしっかり考えてあげるしかありません。
「目は口ほどに物をいう」という言葉が本当に嫌いです。
片目が先天性眼瞼下垂と斜視が相待って、小さい頃は幸せなことに誰もあえてつっこんでくる人も意地悪する人もおらず、呑気に過ごしましたが、中学、高校と、目に対するコンプレックスが酷くなり、精神も病みました。結局高校に入ってから「眼瞼下垂」という言葉を知り、大学病院で手術を受けた物の何も改善しませんでした。今度は眼瞼遅れに悩まされ、手術に向かうも向かわぬも辛い現実しかないとわかりました。
今では人と目を合わせられなくなり、写真も撮りません。現実の世界は、きれいごとを並べられるほど上手くはいかないのです。
編集部のコメント
見た目のコンプレックスの深さや闇は他人にはわかりようがありません。目を細めると怒っているとか、目つきが悪いとか、不満げに見えるなど何気ないひと言が他人を傷つけることはよくあることです。「目は口ほどにものを言う」ということわざまでも自分を攻撃しているように感じてしまうのは、とても悲しいことですね。
周りの人がからかったりいじめたりしなくても、本人がつらく感じると性格形成にも影響します。眼瞼下垂の手術は中高年の人が受ける手術というイメージがありますが、人格形成にまで影響をおよぼすのですから、若いうちに手術という決断をすべきだったのかもしれません。
私は重度の先天性眼瞼下垂です。人にからかわれたり、きつい言葉を浴びせられるたび人の痛みを分かろうなんて思いませんでした。周りの人も自分みたいに辛い思いをしてしまえばいい。そう言う思いから、私は周りの人につんつんとあたるようになりました。
編集部のコメント
きつい言葉を浴びせられながら育つと、周りの人にやさしくしたり、痛みをわかろうとしたりするのはなかなかできないことです。「なんで自分だけこんなつらい思いをしなきゃいけないんだろう…」という想いが強くなれば、周りの人も自分と同じぐらいつらい思いをすればいい、というゆがんだ感情が湧き出てしまうものなのかもしれません。
いじめとコンプレックスは表裏一体になることが多いですし、なにより精神的に健康を損なうような事態だけは避けたいものです。勇気を出して手術、という選択をすべきだったかもしれませんね。
左目に至ってはまぶたの筋肉がほとんど機能しておらず、目を開けようとしても開かない。右目は開こうと意識すれば開いたのでアイプチが使えましたが、左目はそもそも筋力が弱すぎてアイプチ先生も惨敗。アイライナーでごまかそうともしましたが、そもそも左右非対称すぎて意味を成さず。
鏡で自分の顔を見ては悲しくなり人知れず泣いておりました。
編集部のコメント
子どものときは特に気にならなくても、おしゃれに関心を持ちだす思春期以降に悩み始めるケースもあります。特に女の子は化粧をしだして一気に印象が変化する時期。この方も、「眼瞼下垂の症状を解消できるかもしれない」という期待を持ちながら化粧を試したのではないでしょうか。周りの子が変化していく中、さまざまな努力をしても眼瞼下垂の症状のせいでうまくいかずつらい思いをされたようです。眼瞼下垂の症状が重めだと、このような場面で周りと自分の違いを痛感してしまいます。「大人になってから本人の意思で」という考えもありますが、コンプレックスを強めてしまうと性格形成に影響することも。手術を受けさせる時期はとても難しいものですね…。
ただでさえ目が開かないのにさらに余分なまぶたの皮があり皮の重さがのしかかる。目を開けているのも一苦労。目が疲れていたせいか中学生ぐらいからひどい肩こりでした。
目つきが悪く、第一印象は怖いと言われることが多かったですね。おまけに左右で症状の重さが異なり、見た目は左右非対称。
編集部のコメント
眼瞼下垂の辛さは見た目の印象だけではありません。まぶたの筋肉がうまく働かないため、目の周りや肩、首の筋肉・神経に負荷がかかります。筋肉の緊張状態が長く続くため、目がうまく開かない以外にも肩こりや緊張性頭痛などさまざまな症状が。「常に何となくだるい」という方も多く、集中力や体力を削られてしまっているというケースもあります。
また本人にそのつもりはなくても、目つきが怖いと思われてしまうことも。クラス替えなどで新しい環境に入っていくときは、特に第一印象は大切です。眼瞼下垂の症状が不利に働き、人間関係の形成が難しくなっている方も多いのではないでしょうか。
中高生になってからは自分は誰よりもブサイクだと思うようになり、100人中100人がブサイクだと言う人に対しても「自分に比べたらかわいい・・・」と卑屈になってゆきました。
編集部のコメント
眼瞼下垂のコンプレックスが大きくなると、周りの人に指摘されなくても、自分の容姿が醜いと思ってしまうことも。まぶたが気になるあまり、自分の中での自己イメージが低下してしまうことが原因です。このまま悪化してしまうと、「醜形恐怖症」という精神疾患を患ってしまう可能性も。醜形恐怖症の人に見られる特徴の一つに、自分の中の低い自己イメージをかえるために美容整形を繰り返すというものがあります。
コンプレックスを気にせずどうどうとするための美容整形ですが、美を追求するあまり何度も繰り返すのは、身体的にも経済的にもキツイものがあります。見た目が崩れるだけでなく、整形費用を稼ぐためにたくさんの仕事を掛け持ちしているというケースも。子どもが眼瞼下垂で悩んでいたら、悩みや希望をしっかりと聞いてあげることが大切です。
左目はぱっちりあいてるのに右目は全くあいていない。
最初はいずれ開くのかな?と思っていましたが、結局退院日まで右目が開くことはありませんでした。
職業柄、ここまで左右差があるのはおかしいと直感的に思い、助産師さんにも聞いてみましたが「新生児は徐々に目があいてくるのよ」という返事。
もやもやとした不安な気持ちを抱え、退院日の診察で医師に確認すると、「先天性眼瞼下垂の可能性があるから紹介状を書く」という答えが返ってきました。
頭の中が真っ白になり、家に帰ってから大泣きしました。
編集部のコメント
片眼性の眼瞼下垂は生まれた時から分かりやすいのが特徴です。とはいえ、生まれたばかりの赤ちゃんは数日たつとまぶたの状態が変わってくることもしばしば。おかしいと思っても、周りの人に大丈夫と言われると大丈夫だと思いたくなりますよね。
先天性の眼瞼下垂は放置すると視力の成長に影響することがあるため、違和感を感じたら医師に確認することが大切。眼瞼下垂の専門家でなければ分かりづらいこともあるため、一度専門医に診てもらうのが安心です。
眼瞼下垂は手術によってよくなりますが、実際に我が子が診断されたらかなり不安。この方も、自分の子どもの目がきれいに開くようになるのか、一生このままだったらどうしようという気持ちで頭が真っ白になってしまったようです。きれいに手術してくれると評判の名医を知っておくと、安心して子どもの成長を見守れるでしょう。
特に左目は生まれた時はまったくと言っていいほど開いておらず、そのせいで左だけ視力が出なくて近視+乱視。乱視は凄まじすぎてメガネでもほとんど矯正できませんw右目は人より良いのでいわゆるガチャ目です。右目がカバーしてくれてるのでアラサーの今でも両目裸眼で生きてます。ありがとう右目・・・!
編集部のコメント
片眼性の眼瞼下垂で、目に光が入らないと視力が成長しません。目の発達は一般的に新生児から5歳ぐらいまで続き、その期間は赤ちゃんの目をふさぐ布をかけたり、暗い部屋に放置することもあまり良くないとされています。
この方も左目の視力が成長できずに、左右の視力の差が大きいようです。左右の視力の差が大きく、うまく矯正できていないとさまざまな問題が生じます。
両目の視野が合わさることによってできる立体視に問題が生じると、球技が苦手になったり不注意が増えたりといった症状が現れる可能性があります。また目と手の動きは協調しており、目に問題があると手作業が苦手になるケースも。目の発達は視力だけでなくさまざまな部分に影響します。
経験豊富な医師に相談すれば早く解決する!
眼瞼下垂の体験や子どもが眼瞼下垂だという口コミを見ると、さまざまな意見があることが分かります。本人の性格や症状によって、適切な処置は異なるためです。
本人が気にならず、いじめにもつながらないという人もいる一方、やはりいじめが心配な親や実際に嫌な思いをしたという人もいるようです。
眼瞼下垂の手術が得意な医師に相談すれば、現在の状態がどのように変化していくのか、手術はいつやればいいのか適切なアドバイスをしてくれるでしょう。長く悩むより、まずは相談してみることが大切です。