その肩こり・首こり、
眼瞼下垂が原因かも?!
肩こり・首こりの原因としてパッと思いつくのは、姿勢の悪さ・血行不良・疲労・ストレスなどではないでしょうか?実は、原因のひとつとして考えられているものに、眼瞼下垂があります。しかし、まぶたのたるみが肩こり・首こりを引き起こしている…と連想する人は少ないため、眼瞼下垂と肩こりの因果関係に気づく人は少ないのが現状のようです。
ここでは、眼瞼下垂が肩こり・首こりの原因となる理由と初期症状、その治療方法についてまとめています。なかなか治らない肩こりに悩んでいる人は、ぜひチェックしてみてください。
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その肩こり・首のこりの原因は?
現代人が多く抱えるトラブルのひとつである、肩こり・首のこり。肩や首がこる原因には、さまざまなものがありますが、それを特定するのは難しいものです。姿勢を矯正したり、目を休ませたり、ストレスを解消したり、マッサージや整体に通ってもなかなか治らない…という人も多いのではないでしょうか?
もし、何をしても肩こり・首こりが改善しないという場合は、眼瞼下垂を疑ってみてください。眼瞼下垂とは、まぶたを上げる筋肉(眼瞼挙筋)の機能に異常が起きる疾病。もし、眼瞼下垂が原因で肩や首がこっているなら、大元である眼瞼下垂を治療する必要があります。
「たかがまぶたのたるみで、治療なんて…」と思うかもしれませんが、眼瞼下垂は目元だけでなく、全身にも悪影響を及ぼすものです。今、治らない肩こり・首のこりで悩んでいるなら、ひとつの可能性として眼瞼下垂を疑ってみてください。それが、症状を改善するキッカケになるかもしれません。
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眼瞼下垂と肩こり・首のこりの関係
眼瞼下垂にも、いくつかの種類がありますが、肩こり・首こりの原因と考えられているのは、腱膜性の眼瞼下垂です。
まぶたを上げる動作には眼瞼挙筋という筋肉が関与していますが、この眼瞼挙筋は途中から腱膜という組織になり、まぶたの先端にある瞼板という軟骨組織とつながっています。しかし、何らかの原因で腱膜と瞼板がゆるむ・外れると、眼瞼挙筋の機能が低下。まぶたを上げる力がダウンし、腱膜性眼瞼下垂になります。
そして、腱膜性眼瞼下垂になると、腱膜の下にあるミューラー筋という筋肉に負担がかかるようになります。このミューラー筋は交感神経によって支配されており、ここに負担がかかると交感神経も緊張。目のまわりだけでなく、その周辺にある後頭部・肩・首までこるようになるのです。
また、眼瞼下垂になるとまぶたのせいで視野が悪くなるため、顎を上げて物を見るようになります。無理な格好をするのがクセになり、さらに肩・首がこりやすくなるとも考えられています。
腱膜性眼瞼下垂症で肩こりが起きる原因
腱膜性眼瞼下垂では、ミューラー筋に負担がかかることによって肩こりが起きるとお話ししましたが、その部分についてもう少し詳しく見ていきたいと思います。
腱膜性眼瞼下垂では、まぶたを完全に開くことが難しいため、瞼にあるミューラー筋に力を入れるようになります。ミューラー筋は、自律神経に働きかけて、その力で目の筋肉を調整する役割を担っている筋肉。眼瞼下垂でない状態であれば、ミューラー筋に特に力を入れることなくまぶたを開くことが可能です。
ですが、眼瞼下垂になると、ミューラー筋を通常よりも強く働かせてまぶたを開くようになります。そのため、自律神経のひとつである交感神経の働きが高まり、まぶたを開くための筋肉である眼瞼挙筋だけではなく、首や肩にある筋肉にまで筋肉を緊張させるように指令を出してしまいます。
ミューラー筋が首や肩の筋肉にも力を入れるように間違った命令をしてしまうので、肩こりが発生することになるのです。
ミューラー筋は脳波にも影響を与える
ミューラー筋は、筋肉の動きを調整するための筋肉ですが、脳波にも影響を与えることが分かっています。ミューラー筋が強く働くようになると、脳からは「β波」という脳波が放出されるようになります。β波は、活発に活動をしているときに現れる脳波で、「覚醒型」と呼ばれるものです。
眼瞼下垂によってミューラー筋が働くようになり、β波が多く現れると、更に交感神経の働きが活発になります。交感神経も、β波と同じく活動しているときに現れる自律神経です。ミューラー筋の緊張によって働きが高まった交感神経を、更に活発にしてしまいます。
交感神経が活発に働くようになると、全身の筋肉や骨格にも影響を及ぼし、筋肉の緊張状態が続くようになります。交感神経によって、常に緊張を強いられた全身の筋肉には疲労が蓄積され、肩こりや首こりなどの症状に発展。これは、交感神経を構成しているニューロンが、筋肉や筋肉内の血管を支配していることが原因です。
つまり、眼瞼下垂になると、まぶたをしっかりと開くためにミューラー筋が強く働き、交感神経が活発になります。交感神経は全身の筋肉に緊張をもたらすため、首や肩のこりに繋がるのです。
腱膜と瞼板がゆるんでしまう原因とは
眼瞼下垂で肩こりが引き起こされるのは、ミューラー筋が強く働かなくてはならなくなるためですが、それは腱膜と瞼板がゆるんでしまうことが発端です。つまり、腱膜と瞼板がゆるまないようにすれば、眼瞼下垂による肩こりを予防することができるでしょう。
腱膜と瞼板がゆるむ原因は様々ですが、一番の原因は目をこする癖とコンタクトレンズの使用です。目にこれらの物理的な刺激が加わることによってゆるみが出てきますが、これは多少の差こそあれ、誰しもがゆるんでいる状態だと言われています。
また、老化によっても腱膜と瞼板のゆるみは起きるので、通常の生活をしている限り、完全に腱膜と瞼板のゆるみを予防することは難しいと言えます。ただし、まぶたに物理的刺激を与えないようにすることで、治療が必要な眼瞼下垂になる前に予防することはできるでしょう。
眼瞼下垂治療によって高い確率で肩こりが治る
これまでご紹介してきたように、眼瞼下垂と肩こりには深い関係性があります。肩こりを治すためには、マッサージなどで直接的な治療を施すだけでなく、眼瞼下垂を治療することがおすすめです。
眼瞼下垂の治療によって、全身の様々な症状が改善したという報告は多く、その治療結果の報告もされています。ある調査によると、眼瞼下垂の治療を行った200人に対して、改善した症状を質問してみたところ、143人もの人が「肩こり」と回答したという結果です[1]。
約70%もの人が、眼瞼下垂の治療をきっかけに肩こりが改善したという結果にも注目したいですが、更にこの調査から見えてくるものは、眼瞼下垂の方にどれだけ肩こりが頻発しているかということでしょう。
眼瞼下垂を患っている200人の中で、少なくとも143人が肩こりの症状に悩まされているのですから、その確率はかなりのもの。この事から、眼瞼下垂が高い確率で肩こりを引き起こし、眼瞼下垂の治療によって肩こりが改善するということは明らかです。
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眼瞼下垂による肩のこり・首のこり解消のために
まぶたのたるみによって視野が狭くなり、肩こり・首こりを引き起こしている場合、まず姿勢を正すことが重要です。顎を上げる・首を傾けるなどといったクセを矯正することで、肩や首のこりを軽くすることができます。無理に目を見開いたりするのも、できるだけ避けた方が良いでしょう。
しかし、こういった方法では、一時的な症状の緩和しか望めません。眼瞼下垂が肩こり・首こりの原因となっているのなら、それは手術でしか治療できないのです。眼瞼下垂の手術にはいくつかの種類がありますが、軽度~中度の症状であれば、ゆるんだ腱膜と瞼板を再固定するだけでOK。切る方法と切らない方法があり、状態によっては切らずに治すことも可能なのです。
肩こりを放置しておくと、ひどい頭痛・めまい・薄毛・精神的不調などに見舞われることもあるため要注意。眼瞼下垂を治療することで、筋肉の負担・緊張が解消されれば、それに関連する肩こり・首こりの改善も期待できます。ずっと理由の分からない肩・首の痛みに悩まされているなら、ぜひ専門クリニックで相談してみてください。