眼瞼下垂の原因となる「ミオパチー」とは?
遺伝性の筋疾患が眼瞼下垂を引き起こす
眼瞼下垂は通常であれば動眼神経という眼の動きを司る神経の障害によって引き起こされることがほとんどですが、ミオパチーや筋ジストロフィーなどの疾患でも引き起こされることがあります。ミオパチー(Myopathy)とは筋肉の疾患を表す言葉であり、「Myo(筋肉)」と「pathy(病)」という意味から成り立っています。ミオパチーにはさまざまな種類があり、その種類によって症状がでる身体の部位も異なります。また遺伝性のものと後天性のものがあり、眼瞼下垂を引き起こすのは主に遺伝性のミオパチーといわれています。また、体の中心に近いかどうかで近位・遠位と分けられており、眼瞼下垂は遠位型のミオパチーによって引き起こされます。
ミオパチーと筋ジストロフィーとは
筋肉の疾患は筋ジストロフィー・先天性ミオパチー・炎症性ミオパチー・代謝性ミオパチーに分けられ、そのうち遺伝性の疾患が筋ジストロフィーと先天性ミオパチーです。炎症性はリウマチなどの膠原病が原因であることが多く、代謝性は何らかの理由によって代謝障害が起こることで引き起こされます。
眼瞼下垂を引き起こす眼咽頭遠位型ミオパチー
ミオパチーの中でも眼瞼下垂を引き起こすとされているのが「眼咽頭遠位型ミオパチー」です。前提として、ミオパチーは患者さんが少ない希少疾病です。ミオパチーでは多くの場合体の中心から近い近位筋から障害がでますが、「眼咽頭遠位型ミオパチー」は遠位筋に主な症状が現れる珍しい病気です。そのため、患者さんの数も少ないといわれています。
遺伝性の疾患ですが、なぜ発症するのかはいまだに明らかにされていません。成人期~老年期に発症することが多いものの、男女問わず老年期にあたる患者さんが大半を占めているとのことです。
眼咽頭遠位型ミオパチーを発症すると、眼瞼下垂のほか眼球運動障害によって物が2重に見える複視が起こったり、嚥下障害、また前脛骨筋(すねのあたりの筋肉)の筋疾患が認められることもあります。
眼瞼下垂を引き起こす眼咽頭型筋ジストロフィー
「眼咽頭型筋ジストロフィー」とは、おおむね45歳~50歳以降に症状がでる筋疾患であり、発症すると眼瞼下垂や嚥下障害、眼球運動障害、話しづらくなるなどといった症状がでます。また腕や太ももの筋肉が低下して歩行障害が出ることもあり、体の中心に近い近位筋に障害がでます。多くの場合では眼瞼下垂か嚥下障害が初期症状として現れますが、期間は患者さんによって異なります。数年ほどでの両方の症状が現れるのも特徴です。
「眼咽頭型筋ジストロフィー」に限らず「眼咽頭遠位型ミオパチー」でも同様ですが、症状が進行することでより命にかかわるのは「嚥下障害」の症状です。食べ物が上手く食べられないことで栄養障害が起こりやすく、またうまく飲みこめないことで誤嚥性肺炎や窒息のリスクが高まるためです。
眼咽頭遠位型ミオパチーと眼咽頭型筋ジストロフィーの違い
「眼咽頭遠位型ミオパチー」と「眼咽頭型筋ジストロフィー」の分類は、まず近位筋が侵されるのか、遠位筋が侵されるかによって異なります。眼咽頭遠位型ミオパチーは筋疾患の症状の中でも珍しい遠位筋に障害がでますが、眼咽頭型筋ジストロフィーでは体の中心に近い近位筋に障害がでます。たとえば手足であれば、付け根の方に症状が現れるものが眼咽頭型筋ジストロフィー、手足の先の方に症状が現れるのが眼咽頭遠位型ミオパチーです。
もっとも大きな違いは原因となる遺伝子といわれており、血液検査やMRI、エコーや遺伝子検査などの細かな検査や診察によって明らかにされています。
「眼咽頭遠位型ミオパチー」と「眼咽頭型筋ジストロフィー」の治療法
眼咽頭遠位型ミオパチーと眼咽頭型筋ジストロフィーの治療法はどちらも未だ未確立。明確な治療法がない状態であり、原因遺伝子を治療するべく今もなお研究が進められています。また、筋疾患による症状の対症療法は行われており、眼瞼下垂や嚥下障害に対して外科的治療などを実施しています。
眼瞼下垂の原因がミオパチーや筋ジストロフィーの可能性も
眼瞼下垂の症状があるとき、そのほかにも気になる症状がないかを確認しましょう。眼咽頭遠位型ミオパチーも眼咽頭型筋ジストロフィーも遺伝性疾患ですが、自分で判断することはできません。
気になる症状として、眼咽頭遠位型ミオパチーでは手足の先などの遠位筋に障害がでるため、足首を持ち上げにくくつまずきやすくなることも。また、眼咽頭型筋ジストロフィーでは手足の付け根などの近位筋に障害がでるため、手足の脱力感などを感じやすくなります。食べ物が飲みこみづらいなどの嚥下障害や話しづらいなどの症状がある場合にも、すみやかに医療機関を受診しましょう。






