切らない眼瞼下垂の
メリット・デメリットをリサーチ
SURGERY
ダメージが少なくダウンタイムも短い「切らない眼瞼下垂の手術」ですが、メリットの裏にはデメリットもあるようです。
眼瞼下垂の治療法のなかには、「切らない眼瞼下垂手術」というものがあります。まぶたの裏を特殊な糸で引き上げるもので、術後のダウンタイムがが非常に少ないため、眼瞼下垂治療のなかでも人気の手術方法となっています。ここでは、眼瞼下垂の手術について詳しく解説。治療法としてのメリットやデメリット、手術を受ける際の注意点などもまとめました。切らない眼瞼下垂手術の失敗事例についてもリサーチしています。
切らない眼瞼下垂手術の施術方法
切らない眼瞼下垂手術とはどのような施術か簡単に説明すると、たるんだまぶたの裏側から特殊な糸を通し、まぶたを上げる筋肉(眼瞼挙筋)を短縮して瞼板に固定する手術のことを指します。メスを使用しないため、痛み・腫れ・内出血などが少ないことからダウンタイムが短く、眼にかかる負担が非常に軽いというのが特徴のひとつです。
眼科で保険適用手術を受ける場合は切る眼瞼下垂手術がほとんどですが、患者さんが希望すれば、この切らない眼瞼下垂手術を受けることができる場合もあります。眼科によって異なりますので、事前に確認しておくようにしましょう。
気に入らなければ元に戻せる
眼瞼下垂の手術の主流は切開法でしたが、切らない眼瞼下垂手術が考案されてからは、こちらの方法を希望する患者さんも多くなってきたそうです。なぜならいったん挙筋短縮術などで瞼表面の皮膚を切ってしまうと元に戻すことはできないから。さらに切る眼瞼下垂手術はダウンタイムが3ヵ月から6ヵ月と長いこともデメリットでしょう。その点、切らない眼瞼下垂手術は眼瞼挙筋を糸で固定するだけなので、もしも二重ラインが気に入らなかったり、眼に不具合や不快感がある場合などは、糸をはずして元の状態に戻すことも可能です。またダウンタイムも短く、数日後には普通にメイクをすることも可能です。
ただし保険適用外の治療法なので、切らない眼瞼下垂の手術費用はすべて自費になってしまいます。手術の仕上がりに満足できない場合は手術費を返金してくれたり、再手術をしてくれたりするクリニックもあるようなので、費用については治療を受ける前にクリニックの公式サイトをしっかり読み込んでからカウンセリングに臨み、ギモンに感じたことはすべて手術前に確認してから手術をするかしないかを決めたほうがよいと思います。
「切らない眼瞼下垂手術」でも部分的に「切る」場合がある
実は、切らない眼瞼下垂手術には2通りの方法があります。1つは、先に述べたまぶたの裏側(結膜側)をほんの少しだけ切開して行う方法(腱膜固定法)。皮膚の表面を切開する手術ではないため、クリニックによっては、この方法を切らない眼瞼下垂手術と称しているケースがあります。もう1つは、糸で結膜を縫い縮める方法(タッキング法)となります。
腱膜固定法は、まぶたの裏とはいえ切開を伴う方法ですが、腱膜を瞼板にしっかりと固定するため、糸で縫い縮めるだけのタッキング法よりも効果は長持ちします。ただし、非常に高度な技術力が必要となるため、施術を受ける際には医師選びが重要となってきます。
切らない眼瞼下垂手術の効果
切らない眼瞼下垂手術で得られる効果としては、まず「黒目が大きく見えるようになる」ということ。眼瞼下垂になると、まぶたで黒目が隠れて目つきが悪くなることがありますが、まぶたが持ち上がることで黒目の露出が増えて目元の表情が和らぎます。なにより視界が広がりモノが見やすくなるはずです。
ただ、眼瞼下垂の手術をして得られる効果はそれだけではありません。ひどい頭痛持ちだった人の頭痛がなくなったり、万年肩こりが解消したり、日常生活の質を下げるような体調不良が改善されるケースも多いのだそうです。瞼のたるみが気になる、目元を若々しくしたいという審美的な目的で手術をする方もいますが、見た目だけでなく睡眠障害や自律神経失調症といった病気の原因となっている場合もありますので、一度眼科や形成外科を受診して、眼瞼下垂の可能性はないか診ていただくことをおすすめします。
切らない眼瞼下垂手術の失敗
切らない眼瞼下垂の手術でよくある失敗のひとつに、「患者の年齢や要望を考慮せず、不自然なほど目を大きく露出させてしまう」事例があります。目が大きくなればいいというものでもなく、ギョロギョロとした目元はいかにも不自然。極端な失敗例になると、まぶたが閉じづらくなるというケースも。
このような場合は医師の手術経験が不足しているか、いちばん自然なかたちで美しく見える目元をデザインする、という観点が欠落している可能性があります。さらに糸で引き上げる力が強すぎて引きつったような釣り目になってしまうこともあります。
先ほども説明しましたが、保険適用外で受けた手術の仕上がりに満足できない場合は、糸をはずして元の状態に戻したり再手術をしてくれたりするクリニックもあるので、失敗したときの対応策についても十分検討してから手術を決めるとよいでしょう。
手術前の注意事項
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- 「切らない」のは本当か?
- 切開を一切行わず糸のみを使って施術する方法を、一般的には「切らない眼瞼下垂」と呼びます。しかし、なかには皮膚表面の切開はしませんが、まぶたの裏の切開を伴う手術のことを「切らない眼瞼下垂」と呼んでいるクリニックもあります。あらかじめ、どちらのタイプなのかしっかり確認しておきましょう。
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- ダウンタイムが短い?
- 切開をしない方法であれば、大きな腫れ・内出血・痛みはほとんどありません。糸をまぶたの裏で留めているため、1週間くらい違和感を覚えることもありますが、自然と改善されるため問題はないでしょう。
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- 仕上がりには
日数が必要ない? - 切らない眼瞼下垂はダウンタイムは短いですが、だからといって仕上がりまでの日数も短いとは限りません。糸を使った眼瞼下垂手術では、術後の戻り(ゆるみ)を考慮して、仕上がりの予定よりも少しオーバーにまぶたを引き上げています。その戻りが固定されるには、2~3週間ほど必要となります。
- 仕上がりには
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- 保険適用外なの?
- 切らない眼瞼下垂手術は、保険適用ではありません。手術はすべて自費診療となります。
メリット・デメリット
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メリット
- 手術時間が短い
- 手術時間は40分程度。日帰りで手術ができ、翌日から仕事や学校へ行くことも可能です。
- 痛みが少ない
- 皮膚の切開をしないため、その分痛みは少なめ。痛みがあっても、鎮痛剤で対処できる程度。
- 傷や内出血などが残りにくい
- 皮膚の表面に傷をつけないため、傷や内出血などが残りにくいのがメリットです。
- 元に戻すことができる
- 糸で固定してあるだけなので、仕上がりが気に入らない場合は元の状態へ戻せます。
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デメリット
- 効果が十分に出ないことがある
- 眼瞼下垂の症状が重い場合は、思ったような効果を得られない場合があります。
- 元に戻ってしまう可能性がある
- 時間の経過に伴って糸がゆるみ、引き上げたまぶたが元に戻ってくるケースがあります。
- 細かい調整が難しい
- まぶたの幅を細かく調整することができないため、仕上がりに左右差が出てしまうことも。
おおよその手術費用
切らない眼瞼下垂手術は、保険適用されない治療法です。すべて自費診療となるため、料金設定はクリニックによって異なります。大まかな目安は、20~40万円ほど。カウンセリング・診察・アフターケアなど、必要な費用はすべて含まれているかどうか、Webサイトやカウンセリングでしっかり確認しておきましょう。また、仕上がりに満足できなかった場合の再手術や、トラブルが起きた際の治療費についても要チェックです。
ダウンタイムについて
皮膚を切開しないため、術後の腫れ・内出血はほとんどありません。人によっては多少の腫れが見られますが、他人から見ても分からない程度です。そのため、手術直後から外出をしたり、職場や学校へ行くことも可能。洗顔やシャワーは当日から、メイクや入浴は翌日からOKとなっています(クリニックによって指示は異なります)。生活における制限はほとんどないので、「人にバレたくない」「会社を休めない」という方に適しています。
施術後のスケジュール
切らない眼瞼下垂手術の場合、抜糸の必要がないため、通院は基本的に手術当日のみでOK。ダウンタイムも術後の経過でトラブルが起こることも少ないですが、人によっては状態が安定するまでに、何らかの不安を覚える方もいるでしょう。そんなとき、クリニックにすぐ相談できるかどうかなど、アフターフォローの体制がしっかりしているかどうかもチェックしておきましょう。何かあったときにすぐ対応してくれるクリニックであれば、安心です。