切開するのに抵抗がある人には
「切らない眼瞼下垂手術」がお勧め
眼瞼下垂の治療には、大きく分けて「切らない手術」と「切る手術」の2種類があります。
切らない手術は、まぶたを持ち上げる筋肉を糸を使って吊り上げ・固定する治療法です。皮膚を切開しないため、目の付近や顔にメスを入れることに抵抗のある人でも安心。クリニックや医師にもよりますが、施術時間も20分程度とスピーディーです。
ダウンタイムが少ないのが特徴で、顔に傷跡が残らず、大きく腫れることもほとんどありません。手術は日帰りで受けられるので、手術のためだけに長く休めない…という人にも適しています。切らない眼瞼下垂の手術を受けられるかどうかは、症状の重症度によって判断されるものですが、「切るのが怖い」という気持ちから手術を躊躇しているのなら、一度専門医に相談してみると良いでしょう。
「切る」「切らない」で
何が変わってくるか?
切らない眼瞼下垂手術・切る眼瞼下垂手術ともに、メリット・デメリットが存在します。
■切らない眼瞼下垂手術
切らない眼瞼下垂手術、いわゆる糸を使ったタッキング法のメリットといえば、やはり「皮膚を切らずに済むこと」。腫れ・内出血・痛みといった負担を極力少なくすることができるため、切開法に比べると、身体へのダメージはだいぶ軽いものとなります。
短時間の手術で眼瞼下垂を改善することができ、黒目が大きく見えるようになるのもメリット。たるみが解消されるので、無理にまぶたを持ち上げるようなクセがなくなり、眼精疲労・頭痛・肩こりといった症状が改善されることもあります。さらに、仕上がりが気に入らなかった…などという場合は、糸を抜く(抜糸)ことで元の状態に戻すことが可能です。
ただし、まぶたの脂肪が多すぎる・筋力が弱すぎるといった場合は、切らない眼瞼下垂治療が適用されないことがあります。また、糸で固定してあるだけなので、人によっては短期間(数ヶ月~数年ほど)で元に戻る可能性もあります。
■切る眼瞼下垂手術
切る眼瞼下垂手術では、まぶたの皮膚を切開し、まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)などの組織を直接見ながら手術を行います。そのため、精密な治療が可能となっており、得られる効果が確実。切開の位置を二重まぶたのラインにできるため、眼瞼下垂の治療と同時に、理想的な二重まぶたを形成することもできます。保険も適用されるので、治療費が4万円前後で済むのもメリットです。
ただし、皮膚や組織を切るため痛みが強く、ダウンタイムが長いのがデメリット。症状や手術法にもよりますが、大きな腫れや内出血が2~3週間残ることもあるため、接客業や長期間の休みが取れない人には向きません。また、切らない眼瞼下垂の治療と違って、一度手術をしたら元に戻すことは不可能。仕上がりに不備がある・気に入らないといった場合は、再手術によって修正・調整をしていくことになります。
■切らない眼瞼下垂手術
【費用は両目で20~40万円程度】
切らない眼瞼下垂手術の費用は、両目で20~40万円程度です。切る眼瞼下垂手術に比べ、メスを使わないなど手術の手間が少ない分、費用は半額程度となっています。
【保険適用はなし】
切らない眼瞼下垂手術は、いかなる方法であれ全て自由診療。保険は適用されないため、全額自己負担となります。
【ダウンタイムは1週間程度】
切らない眼瞼下垂手術ではメスを使わないため、切る眼瞼下垂手術に比べ、ダウンタイムは圧倒的に短めです。術後の腫れなどはほとんどなく、万が一腫れや痛みが生じたとしても2~3日、最大1週間程度でひきます。
切らない眼瞼下垂手術3つのメリット
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1.手術時間が短い
切らない眼瞼下垂手術の手術時間は、おおむね40分程度。長くても60分程度で終わる簡単な手術です。 -
2.ダウンタイムが短い
メスを使わない手術のため、ダウンタイムは短めです。術後に腫れや痛みが生じた場合でも数日で解消します。 -
3.元に戻すことも可能
糸で固定する手術法なので、万が一仕上がりに不満足だった場合は、糸を外すことで簡単に元に戻せます。
切らない眼瞼下垂手術3つのデメリット
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1.十分な効果を得られないこともある
症状が重度の場合、十分な効果を得られないことがあります。症状の程度によっては、切る眼瞼下垂手術の選択も検討したほうが良いでしょう。 -
2.元に戻ってしまうこともある
手術から長期間が経過すると、徐々に糸が緩み、再びまぶたが下がってくることがあります。 -
3.仕上がりに左右差が出てしまうこともある
まぶたの幅を微調整するのが難しい手術のため、仕上がりに左右差が生じるリスクもあります。経験豊富なベテラン医師に施術をしてもらうようにしましょう。
■切る眼瞼下垂手術
【費用は両目で50~70万円程度】
切る眼瞼下垂手術の費用相場は、おおむね50~70万円程度です。メスを使う手間などがある分、切らない眼瞼下垂手術に比べて費用は高額となっています。なお、保険適用となった場合には、3割負担で5~6万円が相場となります。
【美容目的の要素がなければ保険適用も可能】
条件によっては、保険適用で治療をすることができます。ただし、保険適用となる手術は、あくまでも視界不良などの身体機能の改善を目的とした症例のみ。「仕上がりを二重にしたい」「絶対に左右差のない仕上がりにしたい」など、美容目的の要素が少しでも入っている場合には保険適用されず、全額自己負担となります。
【ダウンタイムは長め】
切る眼瞼下垂手術は、その方法が何であれダウンタイムは長めです。強い腫れは術後2~3日程度続き、完全に腫れがひくまでには2週間程度を要します。のち、むくんだような状態が3ヶ月~半年程度続く場合もあります。
切る眼瞼下垂手術3つのメリット
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1.臨床結果が多い
切る眼瞼下垂手術は、国内外で長く行われてきた一般的な手術法。症例数が多いため、安心して手術を受けることができるでしょう。 -
2.保険適用になる場合もある
条件によっては保険診療での手術が可能です。美容目的が一切ない方には、非常にお得な制度となります。 -
3.重度の眼瞼下垂でも改善が可能
切らない眼瞼下垂では治療が困難な重度の症状でも、切る眼瞼下垂手術なら改善させることが可能です。
切る眼瞼下垂手術3つのデメリット
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1.医師の技術力によって仕上がりに差が出る
切る眼瞼下垂手術には、高度な技術力が要求されます。経験の少ない医師が執刀した場合は仕上がりが不自然になることもあるため、症例の豊富なベテランドクターに治療をお願いするようにしましょう。 -
2.ダウンタイムが長い
仕事や学校を休むほどの強い腫れが術後2~3日、以後もしばらく不自然な腫れが2週間程度は続きます。目のむくみが完全に取れるまでに半年程度を要する患者もいます。 -
3.自由診療の場合、手術費用が高い
自由診療で切る眼瞼下垂手術を受けた場合、その治療費は50~70万円と高額です。
症状の程度や仕上がりの希望によって手術法の選択を
症状が極めて重度の場合は、切る眼瞼下垂手術しか選択肢が残されていない場合があります。しかしながら、切る・切らないの選択肢が残されている程度の症状である場合には、以下を基準に手術法を検討してみましょう。
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1.仕事・学校を休めない人は切らない眼瞼下垂手術
切る眼瞼下垂手術の場合、術後の腫れが著しいことから、仕事や学校を休む必要が出てくるでしょう。見た目の問題ももちろんですが、視界不良によるリスクの問題もあるからです。休めないという方は、切らない眼瞼下垂手術を選びましょう。
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2.身体的な負担を軽くしたい方は切らない眼瞼下垂手術
切らない眼瞼下垂手術は、メスを使わない分、体への負担が軽くなります。手術による体の負担が不安な方(術後の痛みも含めて)は、切らない眼瞼下垂手術を選んだほうが良いでしょう。
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3.保険の範囲内で治療したい方は切る眼瞼下垂手術
金銭的な事情で、どうしても保険の範囲内で治療したいという方は、切る眼瞼下垂手術を選んでください。ただし、仕上がりにおける左右のバランスや美しさに関して、病院は一切の注文を受け付けていないので了承しておきましょう。
切らない眼瞼下垂手術
皮膚を切ることなく眼瞼下垂を改善できる「切らない眼瞼下垂手術」は、まぶたの裏側から治療を行う方法。糸を通して眼瞼挙筋を縫い縮め、垂れ下がらないように固定していきます。痛み・腫れ・内出血などのダウンタイムがほとんどなく、生活や仕事にも支障が出にくくなっています。
ただし、クリニックによっては切る行為をとりながらも、「切らない眼瞼下垂」と称しているところもあるため、トラブルを防ぐためにも詳細をチェックしておいてください。
タッキング法
タッキング法とは、極細の糸を使って結膜と眼瞼挙筋を縫い縮める治療法。まぶたの裏から行うため、傷跡が目立たず、切開もないのでダウンタイムがほとんどありません。手術にかかる時間も短く、身体への負担も少なくて済みますが、症状が軽度の方にしか適用されないのが特徴。また、糸で留めてあるだけなので、将来的にゆるんでくる…といったデメリットも踏まえて選ぶようにしましょう。