先天性眼瞼下垂の原因と治療法

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生まれつきの
眼瞼下垂、先天性眼瞼下垂
について知ろう

まぶたを上げる筋肉が弱く目を開くことが難しい病気

ここでは、先天性眼瞼下垂の症状と治療法についてまとめています。
眼瞼下垂には、生まれつき(先天性)のものと、成長してから現れる後天性のものがあります。どちらも目が腫れぼったい感じになり、悩んでいる方も多い症状ですが、なぜ先天性の眼瞼下垂になるのでしょうか?また、どんな治療法があるのでしょうか?生まれつきのものだからとあきらめず、ぜひ情報をチェックしてみてください。

先天性眼瞼下垂とは?

日本眼科学会の公式ホームページによると、先天性眼瞼下垂とは「出生直後から見られる眼瞼下垂」と定義されています。

もちろん、生まれてすぐの赤ちゃんは、ほとんど目が開いていませんが、これは眼瞼下垂ではありません。そのまま放置していれば、やがて日を追って目が開いてくるようになります。 しかしながら、中には、ある程度の期間がたっても目が開きにくい状態が続く赤ちゃんがいます。生後およそ1年たっても目が開きにくい状態が続いた場合は、先天性眼瞼下垂が疑われるでしょう。

先天性眼瞼下垂には、片目だけに症状が出るパターンと、両目に症状が出るパターンとの2種類があります。いずれのパターンにおいても、赤ちゃんがお座りをできるような時期になると、自分の視界を少しでも良くするために、アゴを上げたりなどの動作が増えてくるようです。

なお、先天性眼瞼下垂は、あくまでも瞼の病気。眼球とは関係がない症状なので、普通は視力には問題はありません。ただし、片目だけが見えにくい状態が長く続くと、やがて乱視や弱視につながる恐れがあります。医師の助言にしたがって、適切な時期に治療をすることが望ましいでしょう。

原因

先天性眼瞼下垂の原因は、上眼瞼挙筋の先天的な問題です。

瞼には、ミューラー筋や上眼瞼挙筋、眼輪筋など、いくつかの種類の筋肉がありますが、これらのうち、目を開くときによく使う筋肉が上眼瞼挙筋。この上眼瞼挙筋が生まれつき不完全だったり、または、生まれつき存在していなかったりすると、先天性眼瞼下垂となります。

また、先天性眼瞼下垂は、まれに遺伝します。先天性眼瞼下垂を持つ親族がいる人といない人を比べると、いる人のほうが発症の確率はやや高くなる、と言われています。

なお、症例としては多くはないのですが、別のなんらかの病気が原因で先天性眼瞼下垂になってしまうこともあります。具体的には、先天性動眼神経麻痺・重力筋無力症・進行性外眼筋麻痺・マースガン現象・瞼裂狭小症候群など。難しくてレアな病気なので、ここでは割愛します。

先天性眼瞼下垂の症状

先天性眼瞼下垂では、視力が発達する時期である幼少時に「視界の悪さ」が発生するため、その症状は、視界が狭い、見えにくいなどの問題だけに留まりません。先天性眼瞼下垂を放置すると、視力に対する問題が出てくる可能性もあります。

先天性眼瞼下垂で発生する可能性のある症状は、弱視、不同視弱視、斜視などです。それぞれの症状や弊害について詳しく見てみましょう。

弱視
弱視は、乳児期から幼少期にかけての視力発達が阻害されることによって起こり、メガネなどの視力矯正具を使っても視力が上がらない状態のことを指します。また、たんに視力が上がらないだけではなく、視野の狭さや色の判別ができない症状が出ることもあるため、弱視の見えにくさは子どもによって異なります。
不同視弱視
不同視弱視は、両眼に極端な視力差が現れることによって、片方だけが弱視になった状態。視力が良い方の目を積極的に使うようになるため、視力が悪い方の目を使用しなくなることが原因です。
斜視
何かを見ようとするときに、片方の目だけがずれてしまう症状のことです。片方は正面を向いているのですが、片方のみが外側、内側、上側、下側のいずれかにずれます。常に斜視状態になっている場合もありますが、目が疲れたとき、寝起きのときなど、時折斜視になる場合もあるため、よく観察してあげることが大切でしょう。

引き起こされる可能性のある症状としては、この3つの症状が代表的ですが、弱視が引き起こされた場合の予後はあまり良くないと言われています。特に、近視、遠視、乱視などの症状が同時に起こると、病院で治療を受けても視力が上がらない可能性もあります。

先天性眼瞼下垂の子どもに対して、2年間治療を行った結果についてまとめた資料があるので、こちらでご紹介しましょう。

Oralらは先天眼瞼下垂で最終視力が0.7以下であった73眼中35眼(48%)の54%に屈折異常、不同視の合併がみられたと報告し、久保田も649例の片眼性眼瞼下垂の検討で、視力不良の原因として乱視(19.3%)、斜視(3.7%)、不同視(3.9%)の合併を指摘した。

出典:日本視能訓練士協会『(PDF)矯正視力1.0に達しなかった弱視症例の特徴』

屈折異常というのは、近視、遠視、乱視をまとめたものですが、その他、斜視や不同視を併発していることも悪影響を及ぼすようです。

73眼の先天性眼瞼下垂の中で、約半数にも及ぶ35眼で視力が上がらなかったという結果も衝撃的ですが、更にその約半数に何らかの合併症が見られ、先天性眼瞼下垂とその他の視力障害が深く関係していることがわかります。

先天性眼瞼下垂では、正常な視界を確保できないために弱視になることもありますが、斜視を併発する場合もあるので、弱視が引き起こされる可能性も高いと言えるでしょう。

先天性眼瞼下垂によるその他の症状を引き起こされないためには、早めに病院で診断を受けることが大切です。人間の視力は7~9歳くらいにはストップしてしまうと言われており、目の機能に問題があると思われる子どもは、多くの場合が3歳児健診をきっかけに治療が開始されるようです。

弱視治療における遮閉訓練のコンプライアンスは年齢があがるほど悪くなる傾向がみられ、3歳児健診で弱視が発見され早期に治療が開始できることは遮閉訓練の面からも望ましいと考えた。

出典:日本視能訓練士協会『(PDF)矯正視力1.0に達しなかった弱視症例の特徴』

先ほどの資料の中でも、3歳児健診からの治療が推奨されています。どのような面においても、子どもは産まれたばかりのときに急速に成長が進むので、視力を上げるための訓練も早めに開始することが得策。一般的に、生後1ヵ月から1歳半頃が視力成長のピークだと言われています[1]。

先天性眼瞼下垂などで視力が低下していて、メガネによる矯正でも視力が上がらない場合は、遮閉訓練が行われます。

遮閉訓練[1]
視力が高い方の目にアイパッチなどをつけて、視力が低い方の目を使って見る練習をする訓練です。メガネをかけている場合、メガネを覆うようにして布製のアイパッチを装着することもあります。

視力が良い方の目ばかり使用していると、不同視弱視に発展してしまうこともあるので、視力が低い方の目を使用する遮閉訓練は、不同視弱視対策としても有効でしょう。

[1]

参考:日本眼科学会『弱視』

先天性眼瞼下垂の治療法

先天性眼瞼下垂の治療法は、手術です。ただし、先天性眼瞼下垂と診断されても、すぐに手術する必要はありません。赤ちゃんがアゴを上げ、視界を良くしようとする動きを見せているならば、しばらくは様子を見ていても大丈夫。日本眼科学会によると、先天性眼瞼下垂の手術は、おおむね3歳になった時点で行なっても問題ない、とのことです。

ただし例外的に、赤ちゃんの瞼がまったく開かない場合、または、きわめて症状が重度である場合は、2歳以下の年齢でも手術をすることがあります。

なお、2歳以下で手術を受けた場合は、成長してから再び眼瞼下垂の症状になることも少なくない、と日本眼科学会は指摘しています。

主な治療法

日本形成外科学会の公式ホームページによると、先天性眼瞼下垂の治療法には、主に「挙筋短縮術」と「前頭筋吊り上げ術」の2種類があります。

挙筋短縮術
挙筋短縮術とは、目を開くときに使う上眼瞼挙筋を縮めたうえで、瞼板という組織に縫い合わせる手術法。筋肉を短くしてしまう方法、と考えれば分かりやすいでしょう。症状が重度の場合は、挙筋短縮術を受けても症状が後戻りしてしまうリスクがあります。
前頭筋吊り上げ術
前頭筋吊り上げ術とは、ほかの部位から採取した筋膜を、瞼の中に設置する手術法。人工的に筋肉を埋め込んでしまう方法、と考えれば分かりやすいでしょう。筋膜を採取する場所は、一般的に太ももや側頭部。治療効果は非常に高く、重症の患者でも症状は著しく改善します。なお、前頭筋吊り上げ術は「筋膜移植術」と呼ばれることもあります。

術後の経過

先天性眼瞼下垂の手術を受けた後は、安静が基本。激しい運動などをしないよう、しばらくの間は静かに生活をします。

ダウンタイムは非常に長く、腫れが引くのに1~3週間ほどが必要。腫れだけではなく、人によっては皮下出血が続いてしまうこともあります。

抜糸は、術後1~2週間後。のち、1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月後くらいに、定期的な経過観察を受けることになります。

参考サイト・参考文献

公益財団法人日本眼科学会:眼瞼下垂

一般社団法人日本形成外科学会