後天性眼瞼下垂の原因と治療法

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年齢とともに増える、
後天性眼瞼下垂の原因を
知ろう

片側の場合は気づきやすく、両目の場合は気づきにくい

後天性眼瞼下垂とは、加齢とともにまぶたが垂れ下がり、視界が狭くなる・眠たそうな見かけになるといった症状が現れる病気。40~50代から増えてくる症状ですが、最近ではパソコンやスマホの使い過ぎ・ハードコンタクトの長期利用などで、10~20代の患者も増えているようです。
ここでは、そんな後天性眼瞼下垂が起こる原因と、治療法について詳しく解説していきます。誰にでも起こりうる病気のひとつのため、まぶたの下がりに悩んでいる人以外も、ぜひチェックしておいてください。

後天性眼瞼下垂とは?

後天性眼瞼下垂とは、加齢などによって徐々に瞼が下がってくる症状のこと。生まれたときから瞼が開きにくい症状と区別するため、後天性眼瞼下垂と呼ばれています。

後天性眼瞼下垂になると、視界が狭くなるばかりでなく、頭痛がする、肩が凝る、首が凝るといった全身的な症状を伴うことも少なくありません。開きにくくなった瞼を無理に開こうとするため、無意識で色々なところに力が入ってしまうからです。治療をすることで、これら症状がまとめて解消します。

後天性眼瞼下垂は、主に「老人性眼瞼下垂」「腱膜性眼瞼下垂」「外傷性眼瞼下垂」の3つに分かれます。それぞれの症状の原因を見ていきましょう。

原因

老人性眼瞼下垂の原因
老人性眼瞼下垂とは、加齢にともなう目の周辺の緩みによって起こる症状。「皮膚が垂れ下がったことが原因」「まぶたを上げる筋肉が弱ったことが原因」など様々な解説がみられますが、日本眼科学会では「瞼板や皮膚との間の結合が緩んで起こる」ことが原因と説明しています。
腱膜性眼瞼下垂の原因
腱膜性眼瞼下垂とは、瞼と眼瞼挙筋をつないでいる「腱膜」という組織が、何らかの原因で緩んでしまったり、はずれてしまったりして起こる症状。瞼の筋肉や神経は正常である場合がほとんどです。
外傷性眼瞼下垂の原因
外傷性眼瞼下垂とは、外部から瞼へのダメージが原因で起こる症状。瞼にケガを負った場合だけではなく、緑内障や白内障の手術によって瞼が傷ついた場合にも、外傷性眼瞼下垂になることがあります。
気を付けるべきは日常生活
外日本形成外科学会では、後天性眼瞼下垂の原因を「神経の異常」「筋肉の異常」「腱膜の異常」の3つに分類していますが、これらのうち、もっとも多い原因が「腱膜の異常」と解説しています。「腱膜の異常」の最大の原因は、目をこすること。花粉症やアトピー、逆さまつ毛、コンタクトレンズの都合、目を覚ましたときのクセなど、何らかの理由によって目をよくこする人は、「腱膜の異常」を原因とした眼瞼下垂を発症しやすいので注意したいところ。日常生活において意識していくことが大切です。

後天性眼瞼下垂の症状

後天性眼瞼下垂では、その重症度によって軽度、中度、重度に分けられます。この重症度によって症状は異なってきますが、軽度では自覚症状がないことが多いと言われ、中度以上になると、次のようなはっきりとした自覚症状を実感する方がほとんどです。

外見的な症状
後天性眼瞼下垂が中度まで進行すると、外見的に眠たそうな目に見られるように。そして、まぶたを開けることができなくなるため、二重の幅が変わる、三白眼になるなどの症状も見られます。また、常に眉毛を上げていなければまぶたを開けないため、額に深いシワが刻まれる、目の上が陥没するなど、審美的な問題も発生してくるでしょう[1]。
目に現れる症状
まぶたがとても重く感じられるようになり、夕方になると更に目が開きにくくなります。力を入れてまぶたを開こうとするため、眼瞼挙筋に緊張を強いて、目の奥が痛み始めることも[1]。また、重度の後天性眼瞼下垂になると、視界が急に見えづらくなることもあると言われます。その他、眼精疲労、異常な眩しさを感じる、ドライアイなども、眼瞼下垂と関係する症状です[2]。
その他の症状
その他の症状として最も代表的なものは、頭痛と肩こりです。まぶたを開くためのミュラー筋は交感神経と深く関わっているため、交感神経が常に緊張することで頭痛や肩こり、首のこりなどが発生します。また、頑張ってまぶたを開けようと歯を食いしばるので、顎の筋肉の疲れや痛み、歯が浮くような感覚、顎関節の症状などが引き起こされる可能性も[1]。さらに、眼瞼下垂の前段階である「眼瞼挙筋腱膜すべり症」の手術後に、便秘や冷え性、不眠、パニック障害などが改善したという報告もあります[2]。

このように後天性眼瞼下垂の症状は、目や外見だけに留まらず、その他の部位にも深刻な問題を引き起こすところが厄介です。東京慈恵会医科大学付属病院によると、眼瞼下垂で手術を行った44例中に見られた症状は次のようになっていたそうです。

頭痛:11例、首の痛み:4例、肩こり:18例、異常な眩しさ:4例、涙の量が多くなる:1例

出典:東京慈恵会医科大学形成外科学講座『(PDF)肩こりと眼瞼下垂 (第 127 回成医会総会一般演題)』

このデータを見ると、かなりの確率で交感神経に関する何らかの症状が発生しています。眩しさや涙の量など、目の機能に関するものよりも、肩こりや頭痛のほうが件数が多くなっていることからも、その発症頻度の高さがわかります。

特に交感神経系に影響する部分は大きく、肩こり、頭痛、冷え性、精神症状などをはじめ、交感神経が関係する部位に、様々な不調をきたす恐れがあるでしょう。

眼瞼下垂は日常生活に気を付けることである程度予防できますが、他の疾患や治療によって引き起こされることもあります。

硬膜動静脈瘻(塞栓術)
脳を覆っている膜に存在する動脈と静脈が直接つながってしまったため、それを改善する手術を行ったときの例です。「塞栓術」という手術を行うために上まぶたの部分を切開した後、手術後に眼瞼下垂を発生したとの報告が2例あります。1例は元々眼瞼結膜の腫れがあったため、眼瞼挙筋が弱くなっていたのですが、もう1例は縫合の際に眼瞼挙筋を巻き込んでしまったことが原因です[3]。
重症筋無力症
重症筋無力症は全身の筋力が低下する免疫系疾患で、眼瞼挙筋の能力低下を引き起こすため、症状として眼瞼下垂が現れます。特に目に症状が現れることが多く、目にのみ症状が出ることも珍しくありません。厚生労働省によって難病指定されています[4]。
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症も免疫系疾患で、甲状腺機能亢進症のみでも筋力の低下による眼瞼下垂が現れますが、重症筋無力症を併発する例も多いとされています。特に、目にのみ症状が現れるタイプの重症筋無力症を合併しやすいので、眼瞼下垂を引き起こしやすい疾患です。

後天性眼瞼下垂の治療法

後天性眼瞼下垂を治療するには、手術が必要です。症状に応じ、主に次の4種類の手術法から選択されます。

主な治療法

挙筋前転法
挙筋前転法とは、まぶたの中にある腱膜という組織を、瞼板の前の元々あった位置に戻し、固定する手術法。手術のとき、皮膚のたるみや脂肪を除去すれば、よりスッキリとした仕上がりになります。
タッキング法(切らない眼瞼下垂手術)
タッキング法とは、まぶたの裏側から糸を通し、まぶたを上げるときに使う上眼瞼挙筋を縮めてしまう手術法。まぶたの表面には傷跡がまったく残らないので、「切らない眼瞼下垂手術」と呼ばれることもあります。タッキング法は、中程度の症状の患者には適していますが、重度の症状の患者には適していません。
挙筋短縮術
挙筋短縮術とは、瞼を切開して上眼瞼挙筋を縮めて、瞼板に縫い合わせる手術法。なお、日本形成外科学会では「腱膜の異常」を原因とする後天性眼瞼下垂には、この手術法よりも挙筋前転法を推奨しています。
上まぶた余剰組織切除術
上まぶた余剰組織切除術とは、たれ下がった上瞼の皮膚を切除し、縫合する治療法のこと。なお、皮膚がたれ下がるだけの症状は、厳密に言えば眼瞼下垂ではありません。日本眼科学会では、この症状を偽眼瞼下垂に分類しています。

術後の経過

タッキング法以外は、すべてメスを使う外科手術となります。よって、術後は傷口が安定するまで、安静に生活をしなければなりません。

瞼の痛みだけではなく、腫れや内出血などの外見上の不具合もともなうため、術後、数日は自宅で過ごしたほうが無難です。抜糸は、手術から約1週間後となります。

なお、タッキング法はメスを使わないため、手術を終えた翌日から出勤することも可能。内出血が生じる場合もありますが、メイクで隠せば問題ありません。